7日(金)の午前は、暴力を受けた女性を保護し、支援するNGO、"Safe Embrace"と、日本で言えば検察庁と自治体の法務を合体させたようなWashoe County District Attorney Officeを訪問しました。
Safe Embraceについては、シェルターの場所を他言しないという誓約書に署名してからの訪問になりました。ということで、場所は言えませんが(もっとも、自動車で連れて行かれたので、そもそもどこか分かりません)、一般の住宅の中にありました。ベッドが14床あり、暴力の被害女性やその子どもたち(17歳までの男女)が入居可能だそうです。基本的には60日が最長ですが、実際には生き場所が見つからない女性も少なくなく、4~5か月滞在することもあるそうです。滞在中は入居者が交替で夕食の準備をしたり掃除をしたりします。滞在中、さまざまな情報提供をしたり、support group program(グループで行うセラピーやカウンセリング)を実施したり、Washoe Legal ServiceやNevada Legal ServiceなどのDV専門の法律事務所と連携して、保護命令など必要な裁判手続のサポートをします。
シェルターを出た女性に対しては、Transitional Housing Programといって、6か月を限度に家賃を肩代わりしたり、自立支援や訪問などを行っているそうです。興味深かったのは、刑務所でもプログラムを提供していることでした。女性受刑者のほとんどにDVやabuse(虐待)の被害経験があるそうで、DVを受けつつ、報復で相手方にケガを負わせてしまったケースもあるそうでした。こういった女性受刑者に、empowerment(自立する力をつける)、心理学的な知識、出所後に必要となる情報提供などをセミナーのようなことをやっているそうです。
私が、刑務所でのプログラムに参加する女性受刑者の動機は何かと尋ねたところ、案内してくれたVanessa Monroeさんは、「単に房から出たいのよ」と笑っていましたが、動機は何にせよ、プログラムを通してさまざまな情報に接することはとても貴重だと思われました。
米国のDV政策に関して最も課題だと思う点を尋ねると、Monroeさんは、funding(財政)だと言うことでした。その点は日本でも同じかもしれません。
その後に訪問したDA Office(検事局)では、主に検事として虐待した親の訴追について聞くことができました。
刑事事件では、99%が有罪を認めるため、初期の起訴前手続(preliminary proceedints)を除くと、子どもが証言をすることはほとんどないとのことでした。もっとも、大陪審などpreliminary proceedingsでは50%程度の子どもが証言をするそうです。子どもが緊張したり怯えてしまい証言できなかった場合、10歳未満の子どもであって裁判所が認めれば、代わりに供述状況を録画したビデオを再生することも許されているそうです。逆に、10歳以上ですと、結局、断念せざるを得ないこともあるそうでした。
一方、99%が有罪を認める背景には、plea bargaining(司法取引)があります。これについてもいろいろと尋ねることができました。子ども虐待は、Nevada州の法律では基本的に最も重いカテゴリーAまたはBとなっていますが、司法取引によってCまたはDの、より軽い罪に落としたり、複数の犯罪の一部を起訴しなかったりします。被告人の弁護士との間では、かなり激しいやりとりになることもあり、多くの場合数か月を要するようです(ただし、1年になることはないと言っていました)。ちなみに、司法取引に関して子どもに意見を問うことはないそうです(かえって、子どもに負担だろうということでした。ただ、もう一方の親の意見を聞くことはあるそうです)。司法取引の材料は、罪の軽減ですが、そのほかにも子どもへの接近禁止など、いろいろな条件を取り決めることがあるそうです。将来、被告人が司法取引で決めた条件に違反したときは、検事は被告人の身柄拘束を求めることができるそうです。
刑務所でのプログラムについて尋ねてみましたが、Nevada州の刑務所では、子ども虐待の再犯防止プログラムがないわけではないが、不十分と考えているそうでした。全米で性犯罪者の60%以上が再犯する現状をみると、刑務所でのプログラムが十分とは考えにくいようでした。
ところで、Washoe County(ワショー郡)では、Nevada州で初めて公式に認定された(credited)Children's Advocacy Center(子どもの代弁者センター)を設置する予定で、3月にはほぼ全部の手続が完了するそうです。そこに検事局や児童相談所も入り、さらにKids Cattage(虐待から保護された子どもが、緊急に保護される場所)も隣接させるそうです。今日のお話は、ほとんど刑事関係でしたが、District Attorney Officeは児童相談所の代理人もやっており、民事的に子どもを保護する手続も行っているそうです。
District Attorney(検事局)が裁判所の建物のなかに入っているのは、わわわれ日本の弁護士からすると、裁判所の独立性に影響があるのではと懸念してしまいますが、裁判所の力が大きい米国では、あまり心配は要らないのでしょう。
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